平成23年度税制改正大綱と税効果会計への影響
速報版でもお伝えしたとおり、昨年12月16日に税制改正大綱が発表され、法人税率の引き下げが検討されています。 この改正が施行された場合の税効果会計への影響について取り上げます。
Ⅰ 法定実効税率の変更が必要
税効果会計で適用する税率は、決算日現在における税法規定に基づく税率によることとされていますので、法人税率の改正があった場合、税効果会計に適用している法定実効税率の見直しが必要です。
3月決算法人の場合、仮に、改正税法が平成23年3月31日までに公布された場合には、平成23年3月期年度決算から改正後の税率に基づいて計算する必要があります。
法人税率の引き下げにより実効税率は以下のように変動します。(東京都・外形標準課税適用法人の場合)
法人税率が4.5%下がることにより、実効税率は現行の40.69%から35.64%と5%程度下がることとなります。
Ⅱ 損益計算書最終利益に影響
法人税等について税率の変更があった場合には、過年度に計上された繰延税金資産及び繰延税金負債を新たな税率に基づき再計算し、その修正差額の多くは法人税等調整額に加減することになりますので、最終利益金額への影響が懸念されます。
過年度の繰延税金資産、負債の計上金額が大きければ大きいほど、最終利益への影響がより大きく働くこととなります。
今回取り上げました税率変更の他に、大法人については所得から控除することができる繰越欠損金についての制限も検討されています。税率変更とともに今後のタックスプランニングに大きな影響が予想されますので、改正について今後の動向に注意するとともに、実現した場合の影響及び対応についての試算・計画が必要であると思われます。
上記内容につきまして、ご不明点等がございましたら弊社担当者へお問い合わせください。
(安藤和則)
【Column】
よくお客様から景気の動向やそれに対する対応策について御質問をいただきます。会計事務所では、様々な業種の法人決算の数値をタイムリーに見られる環境にあるので、個々の企業実態を踏まえた回答を期待されてのことだと思います。
確かに、様々な業種・規模の財務数値に関与させていただいておりますが、日本全体からすればごく一部ですので、私見として、次のような趣旨の景気に関する一定の感想についてお話することがあります。
売上について。もっぱら国内市場を対象としている企業では、苦戦が続いており、リーマンショック以前の売上に未だ戻らない状況が続いている傾向が見られます。しかし、売上が減っていても、事業構造等を見直してコンスタントに利益を捻出する企業もあります。景気は自助努力では何ともなりませんが、適切な構造改革は結果に直結するはずです。
【TSK Information】
◆2月16日(水)から3月15日(火)は、個人所得税の申告期間となります。資料はお早めにご準備下さい。
◆当事務所の税理士中山真一が執筆致しました「会社清算の法務・税務~現物分配による譲渡損益」が税経通信2月臨時号に掲載されました。
◆2011年1月より当事務所のホームページをリニューアル致しました。今後も皆様にご活用いただけるホームページを目指し、継続した取組みを進めて参ります。