財産債務調書 平成28年1月1日以降「財産債務調書」の提出が求められます
税理士 坂本 雄一
<概要>
一定の基準を満たす方について、財産の種類、数量、価額並びに債務の金額などを記載した「財際債務調書」を翌年の3月15日までに所得税の納税地の所轄税務署長に提出を求める制度です。
<適用対象者>
所得税等の確定申告書を提出する必要があり、かつ、次の①及び②のいずれにも該当する者
<罰則等>
財産債務調書には不提出等に対する罰則は設けられておりませんが、提出が期限内にない場合又は期限内に提出された財産債務調書に記載すべき財産債務の記載がない場合に、その財産債務に関して所得税の申告漏れが生じたときは、加算税等が5%加重されます。
一方、財産債務調書を期限内に提出した場合には、財産債務調書に記載がある財産債務に関して所得税・相続税の申告漏れが生じたときであっても、加算税等が5%軽減されます。
<まとめ>
従前の「財産債務明細書」と同様、不提出等に対する罰則はありませんが、これまでにはなかった加算税等の優遇措置、加重措置が設けられましたので、事前の検討及び準備がより重要になるものと思われます。また、「財産債務調書」の準備及び作成については、時間を要すると考えられるため、前年の総所得金額等の金額及び内容等から本年の総所得金額等の合計額が2千万円を超えると想定される方については、財産債務のリストアップや現時点における概算評価などを早期に行うことが望ましいと思われます。