平成31年2月 第2号
住宅ローン控除の特例 ~税制改正内容を中心として~
税務部門 個人資産税所属 川﨑めぐみ
金融機関等からの借入れ(住宅ローン)を利用してマイホームを購入し、税務上の要件を満たした場合に、自身が負担する所得税・住民税から一定額を控除してもらえる「住宅ローン控除」制度。2019年度税制改正により、2019年10月の消費税率引上げによる負担を軽減し、駆込み需要を抑制するため、消費税率10%の住宅に限り、現行の住宅ローン控除に加えて適用できる特例が創設されました。
1.改正内容(控除期間の3年間延長特例)
個人が、 2019年10月1日~2020年12月31日までの間に、消費税率10%の住宅を取得し、取得年の12月末までに自己の居住用に供した場合、住宅ローン控除の控除期間が、原則10年から3年間延長され13年間になります。消費税引き上げ2%相当額を、11年目から13年目の3年間で控除できる制度です。
【一般住宅※の場合の住宅ローン控除】出典「税務通信 3538号 2019年1月7日『実例から学ぶ税務の核心<第27回>』」
2.留意点
(1)住宅の種類・消費税課税の有無によって控除限度額に差があります。
建物の種類のほか、ご自宅の建物に消費税がかかっているかどうかにより控除限度額が変わります。とくに、中古住宅で、事業者ではない個人間売買により建物を取得した場合は、建物にかかる消費税が非課税となります。この場合の最大控除限度額は「一般住宅2,000万円(認定住宅3,000万円)」となり各年の控除額は「一般住宅最大20万円(認定住宅最大30万円)」となりますので注意が必要です。
(2)住宅ローン控除は、所得税から控除しきれない場合、住民税からも控除されます
ただし、住民税からの控除には上限があります。(消費税率によって97,500円~136,500円が限度)また、控除額は、あくまでご自身の負担する所得税・住民税が限度となりますので、控除しきれない住宅ローン控除額は切り捨てられます。
(3)ご夫婦共有で建物を購入された場合の登記持分割合は、それぞれの資金負担割合で登記を
ご夫婦が、金融機関からそれぞれ借入れし、ご自宅を共有で購入された後に登記をした際に、実際の資金負担割合と登記割合が異なると、一方に対する贈与となりますのでご注意ください。
<執筆者紹介>
個人資産部門 川﨑めぐみ
相続税申告のほか、相続対策や事業承継など、個人資産税業務に従事しています。