令和元年10月 第3号
事業分析の手法④ ~3C分析~
FAS部門 古川 祐多
事業分析の手法をテーマにした第4回目として3C分析についてご紹介いたします。この分析手法は第一回から第三回までの事業分析の手法を用いることで効果的に分析することができます。
●3C分析
3C分析は自社が事業を行うビジネス環境での経営戦略上の課題を探り、成功要因(KSF)を導き出すことを目的とするフレームワークです。3CとはCompany(自社)、Customer(顧客、市場)、Competitor(競合)の3つの観点の頭文字をとったものです。この3つの観点からビジネス環境への影響を考えることにより、環境変化に応じた戦略を検討することができます。
1.顧客・市場環境分析(Customer)
この分析ではマクロ分析、ミクロ分析、顧客分析の3つを行います。
マクロ分析では、景気の変動や法律の改正、労働市場の変化等の外部環境の変化を見つけ出します。
事業分析の手法②でご紹介した外部環境をマクロ的に分析するフレームワークであるPEST分析を活用し分析を行うことが効果的です。
次に、ミクロ分析では、業界の構造変化から自社のビジネスへの影響を検討し、自社の業界内での立ち位置を確認します。事業分析の手法②でご紹介した外部環境をミクロ的に分析するフレームワークであるファイブフォース分析を活用し分析することが効果的です。
顧客分析は、上記で分析したマクロ要因、ミクロ要因を基に顧客の価値観やニーズがの動向を分析します。製品ライフサイクルを分析することで一般的な顧客動向を把握し、アンケート調査で具体的な調査を把握します。
2.競合分析(Competitor)
競合分析では、競合企業のビジネスの結果とその過程の2点を分析します。ビジネスの結果については、競合企業の決算書などの数値からどの程度の売上や営業利益を出しているかを検証します。次に競合企業のビジネス結果の過程については、事業分析の手法③でご紹介したバリューチェーン分析を活用し、競合の強み・弱みがどの活動にあるのかを把握します。また、自社にもバリューチェーン分析を行い、強み・弱みを把握することで、競合との比較を行うと共に後述の自社分析にも生かすことができます。
3.自社分析(Company)
自社分析では、事業分析の手法①でご紹介したSWOT分析や自社の経営資源にフォーカスしたVRIO分析といったフレームワークを用いて分析を行い、自社の強み・弱み及びどのような経営資源があるかを把握します。
上記3つの分析を実施後、各々の比較検討を行い、自社の成功要因を探り、自社の今後の方向性や経営戦略を検討していきます。
<執筆者紹介>
FAS部門 古川 祐多
建設会社で営業業務を経て髙野総合会計事務所に入所。現在は中小企業の事業再生業務やM&Aなどのデューデリジェンス業務に従事しています。