新年のご挨拶
謹んで新年のお慶びを申し上げます
2020年1月1日
1. 昨年の振り返り
昨年の世界の政治・経済は、6月の香港での大規模デモ、一昨年に続き第2回目の「米朝首脳会談」が開催されたものの、物別れに終わってしまったこと、11月には英国で下院選挙が行われ、EU離脱を主張する与党が圧勝するなど、今後の世界経済に大きな影響を与える出来事が相次ぎました。一方、南米アマゾンやオーストラリアなどで森林火災が相次ぎ、その原因は地球温暖化とされています。9月に国連本部で開催された「気候行動サミット」ではスウェーデンの16歳のグレタさんという少女が演説をして世界中から注目されるなど環境への関心がますます高くなっています。経済面では米中間での貿易摩擦はさらに拡大の一途を辿っており、「GAFA」に代表されるビッグデータを独占的に保有する企業への社会的な批判が集まっています。また、日本国内においては、5月に「平成」から「令和」へと新たな時代が始まり、10月には消費税が8%から10%へと引き上げられました。スポーツ界では大リーグの「イチロー」選手の引退や、ゴルフの渋野日向子選手の全英オープンゴルフでの優勝やラグビーW杯が日本で開催され「ONE TEAM」のスローガンの下、初のベスト8進出の活躍が話題になりました。残念ながら、昨年同様に、異常気象が原因と思われる各地での風水害が数多く発生し、各地に大きな被害をもたらしました。
2. 今年の日本経済
昨年12月中旬に発表された2020年度予算案においても、消費税増税に対する景気の安定を最優先とし、一般会計の総額が2年連続で100兆円を超え、102兆6580億円となりました。少子化と高齢化の人口減少が継続する中で、医療・年金・介護等の社会保障費はさらに増大し(前年比5.2%増の35兆8608億円)、さらに、消費税増税に伴い、導入された幼児教育・保育の無償化(3401億円)や、今年4月から始まる高等教育の入学金・授業料への支援措置(4882億円)などがかさんで、社会保障費が一般会計の3分の1を占める状況になりました。また、消費税増税後の景気対策として、1兆7788億円を計上し、キャッシュレス決済へのポイント還元事業(2703億円)、マイナンバーカード保有者への買い物ポイント付与(2478億円)等を充当し消費が冷え込むのを抑えることとされています。財源となる税収は、消費税増税に増収分(約2.4兆円)で過去最大の63兆5130億円が見込まれています。新規国債発行額は微減となり、その代わりに税外収入が6兆5888億円と増加しています。税収入不足分は、依然として国債発行等に依存せざるを得ない状況が続いています。また、プライマリーバランスは改善の兆しはあるもの、依然、9兆円を超える赤字となっており、国債及び地方債の総残高は、約1,100兆円超、国民1人あたり約850万円にもなり、後世代に引き継がれるに至っています。
3. 2020年度税制改正大綱
歳出を税収で賄えない状況が続く中で、昨年12月に発表された2020年度の税制改正大綱では、法人と個人に対して「投資への流れ」を作り出すことに主眼が置かれています。具体的には、法人においては463兆円あるとされている内部留保の積極的な活用を、また、個人においては「人生100年時代」に備えて個人の資金を安定した資産形成に振り向ける措置がそれぞれ講じられています。
法人税においては、「オープンイノベーション税制」が新設され、設立後10年未満の未上場であるなど一定の要件を満たす国内のベンチャー企業に対して国内の大企業が1億円以上を出資した場合、来年度から2年間、出資額の25%を所得控除できることとされました。一方で、収益が拡大しているにも関わらず、設備投資に消極的な大企業にはこれまで認めてきた優遇税制の適用を厳しくすることとされました。これまでは「研究開発税制」として、設備投資額が減価償却費の10%以下だと税務上の優遇措置を受けることが出来ないものとされていますが、来年度からは10%から30%以下へと基準が引き上げられます。つまり、より積極的な設備投資を促していると言えます。
一方、個人向けには、老後の資産形成を支援するため、公的年金に上乗せする確定拠出年金の加入期間の延長や条件の緩和に合わせ、勤め先の企業が掛金を拠出する「企業型」は70歳未満に、また、個人が任意に加入する「iDeco」については65歳未満までそれぞれ延長されることとなりました。また、個人投資家向けの優遇税制である「NISA」については2024年以降、リスクの低い投資信託などに対象を限った年間20万円の「積立枠」を新設し、従来の株式に投資できる最大102万円の「投資枠」を設け、5年間で最大610万円の投資が非課税になります。
4.髙野総合グループが目指すもの
上述の国内外の社会・経済現象の変動の中にあって、髙野総合グループは、法人・個人のお客様の立場に立った、タイムリーかつ、適切なアドバイスを実践し、ご期待に応える体制を一層強化、拡充して参ります。現在、コーポレート部門・個人資産部門・FAS部門の3部門で85名超の税理士・公認会計士・スタッフが在籍しており、税務・会計・コンサルの専門家集団として、また、別掲の国税OB等の顧問団とも適宜協議するとともに、弁護士、不動産鑑定士、司法書士、社会保険労務士等の専門家とも機動的に横断的にチームワークを組み、「お客様本位」の視点から、法人・個人のお客様の各種課題や、多種多様なご要望等に「ワンストップ」でお応えする「総合会計事務所・コンサルタント集団」を目指しております。
5.髙野総合グループのネットワークと経営理念
オリンピックイヤーである今年、髙野総合グループは、創業45周年、税理士法人化10周年を迎えます。これまで多くのお客様のご支援を頂いて参りましたが、さらにより多くのお客様のニーズにお応えすべく組織体制をより強固なものにして参ります。法人・個人の決算申告関連業務をはじめ、再生やM&Aなどのコンサルティング業務、相続や事業承継の対策業務、海外関連税務、各種バリュエーション業務、不正調査・損害査定業務など、会社規模・法人・個人を問わず多くのご相談に「3部門一体での専門性と柔軟性を両立」し対処しております。とりわけ、社会問題化している経営者の高齢化に伴う後継者選定(親族内、親族外)とそれに伴う新体制構築・財産移管問題や、外部市場獲得に向けた企業の海外進出に伴う海外税務(特に移転価格問題)対応については、その解決に向けて専門的かつ横断的な検討考察を必要とするため、プロジェクトごとに上記3部門から横断的なチームを組成し対処するなど、髙野総合グループの総合力が最も発揮できるサービス業務であります。
税理士法人髙野総合会計事務所、髙野総合コンサルティング株式会社、監査法人TSKから成る髙野総合グループは、東京・日本橋を主要拠点とし、千葉に事務所を設けるほか、札幌・仙台・名古屋・大阪の有力中堅会計事務所と業務提携を結び、全国的ネットワークによりお客様のご期待に迅速にお応えする体制も整備しております。
また、海外130ヶ国以上の会計事務所を統括し、英国に本部のある国際メンバーファームHLB Internationalとも連携、さらに、国際税務の経験豊富なメンバーを新たに加え、インバウンド、アウトバウンド双方の海外関連税務とIFRSのご相談について精力的に業務を行っています。
本年も髙野総合グループの経営理念である「信頼・信用・信義」の旗の下、持てる総合的ノウハウを結集し、職員一丸となって皆様のご繁栄に少しでも貢献できるよう誠心・誠意努める所存です。是非お気軽にご相談ください。本年も引続きのご指導、ご鞭撻を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。