国税関係書類のスキャナ保存制度
今回は4月1日より施行された「国税関係書類のスキャナ保存制度」についてその概要をご説明します。
平成10年に施行された電子帳簿保存法は、最初から電子的に作成された帳簿書類について、そのまま電子的に保存することを認めるものでしたが、今回同法の改正により、原本が紙の書類についても、一定の要件の下、スキャナで読み取り電子的に保存することが可能となりました。
1.対象となる書類
国税関係書類のうち、次に掲げる書類以外の全ての書類が対象となります。
(1) 決算関係書類(棚卸表、貸借対照表、損益計算書など)
(2) 契約書・領収書(契約金額又は取引金額の記載のあるもので、その金額が3万円以上のもの)
例えば、見積書、契約申込書、請求書等の書類で記載金額が3万円未満のものが対象となります。
2.必要となる機器
ハード面としては、以下の要件を満たす必要があります。
(1) スキャナ(解像度200dpi以上、256階調(1,677万色)以上のもの。デジカメ・ハンドスキャナは対象とならない)
(2) 14インチ以上のカラーディスプレイおよびカラープリンタ
3.入力要件
次のいずれかにより入力する必要があります。
(1) 書類を作成又は受領後、速やかに(1週間以内)スキャナ入力すること。
(2) 月次処理等の業務処理サイクルに従っている場合には、その業務処理サイクル終了後速やかに(1週間以内)スキャナ入力すること。この業務処理サイクルは最長1ヶ月まで認められる。
4.技術的要件
以下の要件を満たす必要があります。
(1) 電子署名(誰がその書類を作成したかを電子的に証明する技術)
(2) タイムスタンプ(いつその書類を作成したかを電子的に証明する技術)等
5.申請及び承認
税務署長等に申請書を提出し、承認を受けることが必要とされています。なお、申請から承認までの期間は5ヶ月(平成18年4月1日以降の申請は3ヶ月)となっています(新設法人の場合は一定の特例があります)。
書類の保管スペース、保管コストの問題の解決策として期待されますが、電子署名・タイムスタンプ等の導入は専門家の助けを借りなければならず、また、対象となる書類に関する制限もネックになりそうです。