企業結合会計基準及び事業分離等会計基準
山田
会計・税務・その他旬の情報をお届けする「TSKニュース2月号」です。今回は、今後の企業再編における会計処理に多大な影響を与える「企業結合会計基準及び事業分離等会計基準」について、その概要をご説明いたします。
「企業結合会計基準及び事業分離等会計基準」とは、読んで字のごとく、企業結合会計基準と事業分離等会計基準の2つの会計基準から構成されています。なぜ2つの会計基準を並列的に記載するかといえば、両者は、表裏一体の関係にあるからです。それでは、それぞれの会計基準を両者の関係にも留意しながらその概要について見ていきましょう。
1.企業結合会計基準及び事業分離等会計基準の概要
昨年末の12月27日付で、企業会計基準委員会(財団法人財務会計基準機構)から、「事業分離等に関する会計基準」(企業会計基準第7号、以下、事業分離等会計基準)、「企業結合会計基準及び事業分離等会計基準に関する適用指針」(企業会計基準適用指針第10号、以下、適用指針)が公表されました。これに先立ち、平成15年10月31日に、企業会計審議会(金融庁)により「企業結合に係る会計基準」(以下、企業結合会計基準)が公表されています。企業結合会計基準及び事業分離等会計基準は、合併、会社分割、事業譲渡・譲受、株式交換、株式移転等の企業再編(組織再編)に係る会計基準を規定したものです。企業再編(組織再編)の大半は、例えば、会社分割などが典型ですが、事業を分離する側と事業を吸収(結合)する側の2つの立場が存在し、企業結合会計基準は主として結合側の会計処理を規定し、事業分離等会計基準は主として分離側の会計処理を規定しています。その意味で、両会計基準は、表裏一体の関係にあるといえます。
従来、わが国では企業再編に係る明確な会計基準が実質上存在しない中で実務が行なわれてきましたが、平成18年4月以後開始する事業年度から企業結合会計基準及び事業分離等会計基準が適用され、加えて、平成18年5月1日に会社法施行も予定されていることから、本年の4月から5月のタイミングを境に、企業再編に係る会計処理が抜本的に変わることになります。
2.企業結合会計基準の内容
3.事業分離等会計基準の内容