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TSKニュース&トピックス

平成18年9月号

棚卸資産の評価に関する会計基準が公表

斎藤

平成18年7月5日に企業会計基準委員会より「棚卸資産の評価に関する会計基準」が公表されました。
棚卸資産の評価基準については、現行では原価法と低価法のいずれかを選択適用することができますが、今回公表された新会計基準によれば、棚卸資産の評価方法については、平成20年4月1日以後開始する事業年度から(早期適用可能)低価法に一本化されることなります。
 

■通常の販売目的で保有する棚卸資産の評価基準

(1)正味売却価額への簿価切下げが必要!
通常の販売目的で保有する棚卸資産については、取得価額をもって貸借対照表価額としますが、期末における『正味売却価額』が取得原価よりも下落している場合には、収益性が低下しているとみて、その『正味売却価額』を貸借対照表価額とすることとなります。

(2)正味売却価額とは
売却市場における時価(=売価)から、見積追加製造原価および見積販売直接経費を控除したものです。ただし、一定の条件の下では、正味売却価額に代えて収益性の低下の事実を適切に反映する方法による価額や、再調達原価によることも認められます。

(3) 処理は洗替え法と切放し法を選択できる
継続適用を条件としますが、棚卸資産の種類ごと、簿価の切下げの要因ごとに、前期の簿価切下額の戻入れを行う方法(洗替え法)と、行わない方法(切放し法)を選択適用できます。
 

■トレーディング目的で保有する棚卸資産の評価基準

トレーディング目的(単なる市場価格の変動による利益目的)で保有する棚卸資産については、市場価格に基づく価額をもって貸借対照表価額とされ、評価差額については当期の損益として処理することになります。
 

■今後の動向が注目されます!

会計上は上記のような取扱いになりますが、一方で税務上認められている低価法は『再調達価額』(期末においてその資産を取得したとした場合に通常必要な価額)が原則であるため、仮に税務上低価法を採用したとしても申告調整が必要になる可能性があり、税務上の対応がどのようにされるのかに興味が引かれるところです。
新会計基準が公表されたことを受けて、中小企業や会計参与が拠るべきとされる『中小企業の会計に関する指針』も低価法に統一する方向で見直しが検討されており、東証一部の上場企業の約8割が原価法を採用していると言われている現況において、低価法の強制による影響はそれなりに出てきそうです。税務行政の対応および中小企業へ適用など今後の動向が注目されるところです。