平成19年度税制改正速報
平成18年12月14日、平成19年度の税制改正大綱が発表されました。噂されていたゴルフ会員権の譲渡損に係る損益通算の制限は行われず、主な内容としては企業に対して優遇的な税制改正となりました。ただ、各項目は小幅な改正といった印象が強く、来年度以降に法人税率の引下げなど大幅な改正が予想されます。
1.法人関係税制
1)減価償却制度の見直し
○平成19年4月1日以後に取得する減価償却資産について、100%償却することが可能に(従来は95%ま
で) 。
○定率法は償却率が定額法の償却率を2.5倍した率で計算。
○平成19年3月31日以前に取得した固定資産に係る5%償却未実施部分は5年間で均等償却。
2)中小同族会社に対する留保金課税の撤廃
資本金1億円以下の中小企業は留保金課税の適用の対象から除外。
3)特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入制度の見直し
適用除外基準である基準所得金額を現行の800万円から1600万円に緩和。
4)その他
○平成20年4月1日以後に締結した一定のファイナンスリースは、売買取引とみなされリース期間定額
法で減価償却。
○役員給与について、職制上の地位の変更等による改定は定期同額給与として取扱い、また、事前確
定届出給与の届出期限を株主総会等の日から1月以内に。
○中小企業地域資源促進法(仮称)の税額控除・特別償却制度が創設。
○企業が一定の基準を満たす託児所の設置・運営を行なった場合に割増償却制度が創設。
○三角合併の解禁に伴い、一定の要件のもと買収対象の日本企業の株主が外国企業の株式を受け取っ
た時点での課税が猶予。
○信託法改正に伴い、事業部門を丸ごと信託する事業信託は信託会社に課税。
2.事業承継関連税制
1)特定非上場株贈与の特例の創設
相続時精算課税制度について、一定の要件を満たす非上場株の贈与を行った場合には、贈与者の年齢
要件を65歳から60歳に引き下げ、非課税枠を2,500万円から3,000万円に引上げ。
2)種類株式の評価方法の明確化
配当優先の無議決権株式、社債類似株式、拒否権付株式の評価方法の明確化。
3.所得税関係
1)住宅ローン減税の延長・拡充
控除期間が10年から15年に延長され(ただし控除率は低下)、現行の制度と選択適用が可能に。
2)バリアフリー改修促進税制の創設
居住者が一定の要件を満たすバリアフリー改修工事等を行なった場合には、その改修工事等に充てる
ために借り入れた住宅借入金等の一定割合を所得税額から控除されることに。なお、この特例は増改
築等に係る住宅借入金等特別控除との選択適用。
3)居住用財産の買換による譲渡損失の繰越の特例を3年延長
4)長期所有の土地・建物等から土地・建物・機械装置等への買換えの特例が2年間延長
5)上場株式等に係る軽減税率の1年間延長
6)e−tax促進税制
○電子証明書を取得した個人が平成19年分または平成20年分の所得税の申告を電子申告により行なっ
た場合はその年の所得税額から5,000円が控除(一回限り)。
○電子申告を行うことを行う場合には医療費の領収書、源泉徴収票、各所控除証明の添付が省略が可
能。