三角合併解禁される
公認会計士 桑原
平成18年5月の会社法の施行から1年延期されていた合併等対価の柔軟化が、本年(平成19年)5月1日に施行されました。この合併等対価の柔軟化により、三角合併が解禁されることとなりました。
三角合併とは
会社を合併する際、消滅会社の株主に対して、対価として存続会社の株式ではなく、親会社の株式を交付することによって行う合併をいいます。
消滅会社の株主に対して交付する株式について、通常の合併が存続会社の株式であるのに対して、三角合併は存続会社の親会社株式であり、「消滅会社」「存続会社」「存続会社の親会社」の三当事者が関与するため、「三角」合併と言われています。三角合併においては、存続会社が100%子会社である場合、合併後も存続会社が100%子会社である状況を維持することができることとなります。
したがって、外国会社が日本国内に100%子会社を設立して受け皿会社とし、日本の既存の会社と合併させることによって、合併後に日本の既存会社を100%子会社として保持することが可能となります(国内法人どうしでも可)。
三角合併の会計・税務の取扱いについては、TSK NEWS(3月号)で解説していますので、そちらをご参照下さい。ポイントとして、税務の取扱いにおいて、平成19年度税制改正により三角合併に関する適格要件の緩和がなされましたが、共同事業要件のひとつである、いわゆる事業関連性要件において、存続会社は、事務所を有し、従業員もいて、さらに自己の名義・計算で事業等を行っていることが必要であるため、ペーパーカンパニーについては適格要件を満たさない可能性があることに注意が必要です。
三角合併の解禁により、会社法がフル稼働の状態になったわけですが、実際の実務での動向が注目されるところです。