電子申告の利用手続きの簡便化が図られました
税理士 山田
e−Tax(国税電子申告・納税システム)は、平成16年より全国で運用が開始されました。以来国税庁も導入促進の宣伝に力を入れており、平成19年度税制改正で利用手続の簡便化が図られました。また、地方税においてもeLTAX(地方税ポータルシステム)が平成17年より運用開始され、現在では47都道府県、16市(平成19年8月現在)で運用されていることから、電子申告・納税の導入を検討している法人・個人も多いと思われます。そこで、今回はe−Tax・eLTAXの概要を説明したいと思います。
1.e−Tax : 現在、法人税・所得税・消費税・酒税・印紙税に係る申告、全税目に係る納税、青色申告の承認申請・納税地の異動届・電子納税証明書の交付請求などの申請・届出等で利用することができます。
2.eLTAX : 現在、法人都道府県民税・法人事業税・法人市町村民税・固定資産税(償却資産税)に係る申告で利用することができます。地方税に関する申請・届出、納税については、平成19年度以降順次対応されることになっています。
また、これまで、複数の都道府県や市区町村に申告等の手続きを行う場合は、作成した申告書等をそれぞれの受付窓口へ提出する必要がありましたが、eLTAXでは、利用者が作成した申告データ等をインターネットで送信すればポータルセンターが受付処理を行い、申告データ等から提出先を判断してそれぞれの地方公共団体へ送信されます。
3.電子署名の省略に関する改正 : e−Taxにおいては、税理士等が依頼を受けて税務書類を作成し、依頼者に代わって電子申告を行う場合に、従来は依頼者の電子署名が必要でしたが、平成19年度税制改正で平成19年1月4日以後は不要となりました。eLTAXでも同様の改正があり、平成19年4月2日以降、税理士等が関与する納税者の場合、納税者の電子証明書がなくても利用できるようになりました。
4.その他 : 申告書等を電子ファイルで作成・保存することによりペーパーレス化を図ることができること、受付システムの稼働時間内であれば、税務署・銀行等の窓口に出向かなくても申告手続きや納税手続き(現在e−Taxのみ。)を行うことができることなどがあげられます。一方、申告書に税務署等の収受印が押されないため、第三者に申告書をいつ提出したか証明するのに手間取ること、税理士等が代理送信を行う場合でも税理士等は電子証明書を取得する必要があること、現在利用できる市町村が限定されていることなどがあげられることが今後の課題と思われます。