平成19年で期限が切れる証券優遇税制とFX取引の申告
税理士 清水
今回のTSKニュースは平成19年で期限が切れてしまう上場株式等を譲渡した場合の1,000万円非課税制度と最近何かと話題が多いFX取引についてです。
1. 1,000万円非課税制度
この制度は金融危機等の影響で低迷した株価を浮上させるために臨時的に設けられた制度です。具体的な制度の内容は平成13年11月30日から平成14年12 月31日までに取得した上場株式等を平成17年から平成19年までに譲渡した場合には、取得元本価格の合計額が1,000万円までは非課税となるものです。
意外とこの制度が今年いっぱいで期限が終了することは知られていないようです。平成13年から平成14年にかけては株価が大幅に低迷していた時期であり、現在は株価が数倍になっているという銘柄も少なくないと思われます。
<適用例>
・平成14年1月にA銀行株を一株20万円で40株購入
取得価格:20万円×40株=800万円
・本年12月にA銀行株全てを一株80万円で売却
売却価額:80万円×40株=3,200万円
上記の場合取得元本の合計額800万円は、1,000万円以下になるので、売却価額3,200万円は全額非課税となります。
繰り返しになりますが、この制度は今年いっぱいで制度が終了してしまいます。意外と適用可能な株式があるかもしれませんので保有株式の購入時期等を確認してみるとよいかもしれません。
2. 注意したいFX取引の申告
「外国為替証拠金取引(FX取引)で主婦が4億円の申告漏れ」といった記事を見た方も多いと思います。最近、少額の証拠金で多額の外貨取引を行うことができることから、FX取引は主婦からセミプロまで幅広い層で行われているようです。
このFX取引は東京金融取引所が行っている「くりっく365」と外貨取引専門会社やネット証券会社が行う「一般FX取引」に分類されます。「くりっく 365」は源泉分離課税となり申告の必要はありませんが、「一般FX取引」は雑所得として総合課税となり確定申告が必要です。
当然のごとく、マスコミで騒がれているのは総合課税となる「一般FX取引」です。課税当局もかなり注目をしているようなので、年間トータルで利益が出た場合には確定申告しないと後で追徴される可能性が高いでしょう。一方、FX取引で損失が発生した場合には、他に雑所得があれば内部通算をすることが可能です。急激な円高で損失が発生している方も多いと思いますが、その場合には内部通算の検討をしてみると意外と救われるかもしれません。