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TSKニュース&トピックス

平成20年1月号

金融・証券税制の改正とベンチャー投資に対する優遇措置

税理士 横田

昨年12月13日に自由民主党の平成20年度税制改正大綱が公表されました。その概要については、昨年12月中にTSKニュース号外としてお伝えしておりますが、今回のTSKニュースでは、税制改正大綱の中でも特に投資関連の改正点について、その内容をお伝えしたいと思います。
 

1.金融・証券税制の見直し

金融・証券税制の改正としては、金融所得の一体化に向け、上場株式等の配当および譲渡益に係る10%の軽減税率を平成20年末で廃止し、翌年21年から本則の20%に戻すとしています。特例措置としては、500万円以下の株式譲渡益と100万円以下の配当に限り10%の軽減税率が平成21、22年の2年間適用される見込みです。

また、平成21年より上場株式等の譲渡損失と配当所得を合わせて課税する「損益通算制度」が導入される予定です。これにより証券投資で損失を出した場合は、配当所得から差し引いて税額を減らすことができます。現在は株取引の譲渡所得は分離課税、配当所得は申告不要あるいは総合課税の対象とされ、別々に課税されていますが、株式売却損を配当所得などで相殺して税負担を軽くする損益通算の範囲が拡大することにより、投資家にとってはリスク負担が軽減されることになります。

この制度導入の当初は、投資家が自分で計算をして取引内容を税務署に確定申告する必要がありますが、平成22年には、証券会社等の整備がなされ、特定口座を使って源泉徴収できるようになる見込みです。特定口座を使えば損益の差し引きを証券会社が代行してくれるため、投資家の利便性は更に増します。

2.ベンチャー企業への投資額の寄付金控除

中小企業・ベンチャー支援として、特定中小会社が発行した株式を取得した場合の課税の特例が創設されました。

個人が、その年中に特定中小会社であって次の要件を満たす株式会社に出資した金額について、1000万円を限度として、寄付金控除が適用されます。但し、寄付金控除を利用した分は、株式の取得価額から控除します。

(1) 設立1年目の株式会社・・・新事業活動促進法に規定する特定新規中小企業者
(2) 設立2年目又は3年目・・・営業キャッシュフローが赤字の特定新規中小企業者

*税制改正大綱の中身はあくまでも“骨子”であるため、その後に公表される改正法案で具体化されます。平成20年度改正については、例年になく民主党も大綱を公表したため、今後の動向に注目が必要となります。