平成21年度税制改正速報
税理士 伊藤
平成20年12月12日、平成21年度自由民主党の税制改正大綱が発表されました。減税規模は1.8兆円をほこる近年稀にみる大幅な政策減税措置が創設されています。
大綱レベルですとまだ不明瞭な部分が多く、政治的に微妙な問題もありますが、取り急ぎ速報版をお送りさせていただきました。関連部署にご回覧いただければ幸甚です。なお、今後詳細がわかり次第TSKセミナー等でお知らせします。
ご不明な点は何なりと担当税理士・公認会計士にお問い合わせ下さい。
Ⅰ 法人関係税制
①中小企業に対する軽減税率の時限的引下げ
中小法人等の平成21年4月1日から平成23年3月31日までの間に終了する各事業年度の所得の金額のうち、年800万円以下の金額に対する法人税の軽減税率を22%から18%に引き下げる。
②中小企業の欠損金の繰戻し還付の復活
中小法人等の平成21年2月1日以後に終了する各事業年度において生じた欠損金額については、欠損金の繰戻しによる還付制度の適用ができることとする。
③外国子会社配当益金不算入制度の創設
内国法人の平成21年4月1日以後に開始する事業年度において受ける外国子会社
からの配当額について、間接外国税額控除制度を廃止(所要の経過措置を講じる)し、内国法人が外国子会社から受ける配当等の額について、その内国法人の各事業年度の所得金額の計算上、益金の額に算入しないこととする制度を創設する。
④卸資産の評価
所要の経過措置を講じたうえ、選定できる評価の方法から、後入れ先出し法及び単純平均法を除外する。
Ⅱ 相続税関係税制
①取引相場のない株式等に係る相続税の納税猶予制度等の創設
経営承継相続人が、相続等により、一定の非上場会社の議決権株式等を取得した場合には、その経営承継相続人が納付すべき相続税額のうち、その議決権株式等(相続開始前から既に保有していた議決権株式等を含めて、その発行済議決権株式等の総数等の3分の2に達するまでの部分に限る。)に係る課税価格の80%に対応する相続税の納税を猶予することとする。
②取引相場のない株式等に係る贈与税の納税猶予制度等の創設
後継者が、一定の非上場会社を経営していた親族から、贈与によりその保有株式等の全部(贈与前から既に後継者が保有していたものを含めて、発行済議決権株式等の総数等の3分の2に達するまでの部分を上限とする。)を取得した場合には、その株式等の贈与に係る贈与税の全額の納税を猶予することとする。
③農地等に係る相続税の納税猶予等について、一定の農地の貸付についても適用対象にするなどの見直しが行われた。
Ⅲ 所得税関係税制
①金融・証券税制
・平成21年1月1日から平成23年12月31日までの間の上場株式等の配当所得及び譲渡所得等に対する税率を10%軽減税率(所得税7%、住民税3%)とする。
結果として、現行制度が延長されることとなる。
・現行の生命保険料控除のうち、介護保障又は医療保障を内容とする主契約又は特約に係る保険料等について、現行の一般生命保険料控除と別枠で、4万円の所得控除を創設する。なお、一般生命保険料控除及び個人年金保険料控除の適用限度額を、現行の5万円から4万円とする。なお、新制度は平成24年分以後の所得税について適用する。
②住宅・土地関連
・住宅ローン減税につき、平成21年から平成25年までの間に居住の用に供した場合には、控除期間は10年とし、控除額の総額は500万円(認定長期優良住宅は600万円)とする大幅な拡充が行われた。
・居住者が、認定長期優良住宅の取得又は一定の省エネ改修工事を行った場合には、一定の支出額の10%(一定の限度額あり)の税額控除を認める。
・個人及び法人が、平成21年1月1日から平成22年12月31日までの間に取得した国内にある土地等で、所有期間が5年を超えるものの譲渡をした場合には、譲渡所得の金額から1,000万円を控除する。
・事業者が、平成21年1月1日から平成22年12月31日までの間に国内にある土地等の取得をし、取得後10年以内に、その事業者の所有する他の土地等の譲渡をした時は、その先行した土地等について、他の土地等の譲渡益の80%相当額(先行取得をした土地等が平成22年中に取得をしたものである場合には、 60%相当額)を限度として、圧縮記帳ができるものとする。