新しくなった「外国子会社からの配当の益金不算入」について
公認会計士 上原
1.制度の改正内容
平成21年度税制改正において、外国子会社からの配当について、従来の間接外国税額控除制度が廃止され、新たに益金不算入制度が創設されました。
(注1)適用対象となる外国子会社は、内国法人が外国法人の発行済株式等の25%以上の株式等を配当等の支払義務が確定する日以前6ヶ月以上引き続き直接有している外国法人
(注2)新制度は、内国法人の平成21年4月1日以後開始事業年度において外国子会社から受ける配当等について適用
(注3)特定外国子会社等(※)の場合、その配当等の額のうち、内国法人の配当等を受ける日を含む事業年度及び当該事業年度開始の日前10年以内に開始した各事業年度において当該特定外国子会社等につき合算対象とされた金額の合計額に達するまでの金額は全額非課税
(※) 外国関係会社(外国法人のうち、その発行済株式数等の50%超を内国居住者及び内国法人とが直接間接に保有するもの)のうち、その本店所在地国での法人所得税の負担が日本よりも著しく低いもの
2.新制度の目的
従来の間接外国税額控除制度は、外国子会社からの配当に①現地での外国法人税、②国内での親会社にかかる法人税が課せられるという国際的な二重課税を回避することを目的とした制度でした。一方、内国法人からの配当については①配当支払法人、②その配当の受取法人にそれぞれ法人税が課税される、国内における二重課税の問題が生じることとなりますが、受取配当等の益金不算入制度によってその問題が回避されています。しかし、外国法人等から受ける配当等の源泉となる所得は日本国内で法人税が課税されておらず、国内における二重課税が生じていないため、外国法人等から受ける配当等については、受取配当等の益金不算入制度の適用範囲対象外となっていました。
したがって、外国子会社からの配当については、国内における二重課税が生じていないわけですが、平成21年度税制改正においてあえて益金不算入とされた趣旨は、外国子会社からの配当を実質非課税として、国内企業が海外市場で獲得する利益の国内還流に向けた環境整備にあるといえます。その趣旨に鑑みると、連結決算対象法人は、連結ベースの実効税率を引き下げる適切なタックスプランニングを検討することが肝要です。