上場株式等の譲渡損失と配当所得の損益通算
税理士 伊藤
平成21年分において生じた上場株式等の譲渡損失については、上場株式等の配当所得との損益通算を行うことができます。平成22年分以降に生じた上場株式等の譲渡損失については、源泉徴収口座内における通算が可能となりますが、平成21年分については、配当所得について申告分離課税を選択し確定申告をすることが必要となりますので注意が必要です。
1.内容
平成21年1月1日以後その年分(平成21年分)の上場株式等の譲渡所得等の金額の計算上、上場株式等に係る譲渡損失があるときは、その損失の金額を上場株式等の配当所得の金額から控除することができます。
なお、控除しきれない損失がある場合には、その損失の金額は翌年以後3年間繰り越すことができます。
また、その年の前年以内3年内(平成18年分、平成19年分、平成20年分)の各年に生じた上場株式等の譲渡損失がある時は、その年分(平成21年分)の株式等に係る譲渡所得等の金額及び上場株式等の配当所得の金額から控除することができます。
2.配当所得の申告分離課税制度の選択
上場株式等の譲渡損失の金額を控除することができる上場株式等の配当所得の金額は、申告分離課税を選択したもののみとなります。上場株式等の配当に関する課税関係をまとめると次の通りとなります。
3.留意点
申告分離課税の申告をし、損益通算した結果、上場株式等の配当所得の金額が残ってしまう場合には、申告不要制度を利用した場合に比べ、国民健康保険料、家族の配偶者控除等の適用の可否などとの関係で、かえって負担が増えてしまう可能性があります。上場株式等の譲渡損失が発生している場合には、必ず担当税理士及び公認会計士にご相談下さいますようお願い致します。