四半期報告の簡素化について
公認会計士試験合格者 中山 昌則
1. 目的及び経緯
平成22年6月に閣議決定された「新成長戦略」において、平成22年度中に実施する施策として「四半期報告の大幅な簡素化」が盛り込まれたことを受けての改正です。半期報告制度を採用している欧州等と比較して開示書類の作成負担が過重であるため、財務諸表作成者から四半期報告の大幅な簡素化を要望する意見が寄せられていたことを踏まえています。
2. 主な改正の内容
■第1四半期会計期間及び第3四半期会計期間の四半期キャッシュ・フロー計算書の開示を省略することができます。この場合は、期首からの累計期間に係る減価償却費及びのれんの償却額を注記する必要があります。
■四半期損益計算書及び四半期包括利益計算書(または四半期損益及び包括利益計算書)の開示対象期間は、期首からの累計期間とし、これまで開示が義務付けられていた四半期会計期間の開示は、任意で期首からの累計期間と併せて開示することができるものとされています。
■表示方法の変更、簡便的な会計処理に係る記載、1株当たり純資産額、発行済株式総数等、及び、ストックオプション関係の注記が不要となります。
3. 適用時期
平成23年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の第1四半期会計期間から適用することが提案されています。
平成23年3月中に基準化される予定となっており、今後も四半期報告の簡素化の動向に注意する必要があると思われます。ご不明点等がございましたら弊社担当者へお問い合わせ下さい。
【Column】
ここ最近、IFRS(国際会計基準)関連の話題が専門誌のみならず新聞やビジネス雑誌等を賑わせています
IFRS対応とはいえ、日本では、税効果、金融商品、退職給付、減損、資産除去債務などといった新会計基準を段階的に導入してきており、大枠では既に国際会計基準と遜色ないレベルにあるとも言われています。
これら新会計基準の導入で年々顕著になるのが、税務と会計の違いです。新会計基準は、税法と異なる処理となるケースも多く、新会計基準採用企業における税務申告書には、中小会社によくある税法ベースの申告書と比較して、より多くの税務調整項目が存在する傾向にあります。
日本の環境下では、特に加算調整項目(会計上費用だが税務上損金ではない)の累積が多額となる傾向にあり、効率的なキャッシュフロー経営のためには、これらを効果的に解消させる計画性も重要となります。
【TSK Information】
◆TSKセミナーのご案内
日時:平成23年3月23日(水)17時30分~19時
場所:当事務所セミナールーム
講師:公認会計士 上原 武
テーマ: 平成23年3月期決算における留意事項
参加(無料)をご希望される方は、お早めのお申込みをお待ちしております。
◆個人所得税の申告期限(平成23年3月15日(火))まで2週間余りとなりました。お困りのことがございましたら、お気軽に弊事務所へご相談ください。