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TSKニュース&トピックス

平成26年8月 中旬号

相続税調査時に"否認されない"暦年贈与のポイント

税理士 渡部 以光

相続税法の改正により平成27年1月1日以降の相続開始から基礎控除額及び税率の変更等により、今まで以上に相続税申告の申告対象者の増加が確実視されています。相続税の節税対策という観点から益々、生前贈与の活用が有益な対策となります。贈与税は「相続税を補完する税金」として相続税法に規定されており、相続税と密接な関係にあります。相続税対策として自分では万全だと思っていたものが、相続税申告後の税務調査において贈与された財産が否認され、被相続人の相続財産と認定される事例を耳にすることがあります。今回のテーマは「相続税調査時に否認されない暦年贈与のポイント」と題して説明致します。前回のレポートにもありましたようにもう一度、贈与を成立させるための要件を思い出してください。『贈与は贈与者(あげる人)と受贈者(もらう人)との契約』であり、「贈与者が受贈者に対して“あげます”」「受贈者は“もらいます”」という『意思表示が必要』であるということです。

1. 『名ばかり贈与』ではありませんか・・・否認された事例 

かつて、幾度と見られた事例をご紹介します。【祖父が自分の孫名義で定期預金口座を開設し、暦年贈与の基礎控除限度で毎年110万円ずつ定期預金として預け入れていたが、通帳も印鑑も祖父が管理し、孫は自分名義の預金口座が存在することも知らない状況にあった。いつの間にか、祖父の相続開始時には数千万円になっていた・・・】というケースです。この場合の税務上の取扱いとしては相続税の調査があった場合には、家族名義預金として祖父から孫に対しての贈与が否認され、祖父の相続財産として相続財産に加算する修正申告の提出が求められます。なぜこのようなことが起きるかというと、人間の心理として「孫に通帳と印鑑を渡してしまうと、無駄使いをするのではないか」という懸念があり、孫に対して情報を伏せてしまっていることも一因として挙げられます。

2. 否認されないための「ポイント」

このケースで否認されないためには、次の事項について留意する必要があります。

①祖父からの贈与の意思表示があり、孫も贈与を受けた認識がある。

②孫が印鑑、通帳の保有管理を行う。

③基礎控除を超える場合には贈与税の申告を行い、申告書の写しを保管する。申告書には受贈者が自署押印をする。

④預金の運用は孫が行う。

⑤孫が受贈の判断が困難な年齢の場合は、親権者である親が受贈契約を行うことが肝要である。

ご不明な点等につきましては、担当税理士・会計士までお問い合わせください。

Column

東京国税局の平成24事務年度(平成24年7月から平成25年6月までの間)の相続税の調査状況について国税庁のホームページに公表されています。実地調査の件数は2,789件、このうち申告漏れ等の非違があった件数は2,041件で、非違割合は73.2%となっています。その中で申告漏れ相続財産の内、現金・預貯金等の全体に占める割合は34.25%とトップを占めます。この中には、今回のテーマでもあった名義預金もかなり含まれています。『転ばぬ先の杖』で生前贈与について名義預金にならないよう、留意いたしましょう。

TSK Information

平成26年7月27日付 日本経済新聞朝刊の1面に『相続税 課税対象者が倍に 1200万世帯 非課税枠の縮小で』の記事が紹介されています。

TSKニュースを見て気になる方は、弊事務所へ「相続財産の簡易評価等」についてお気軽にご相談下さい。