相続時精算課税方式の贈与は節税になるか?
税理士 伊藤 博昭
相続税の節税が可能な贈与とは?
上記の特徴を理解した上で、以下のケースで相続税の節税可能な贈与を考えてみます。
<収益不動産を所有している場合>
収益性が高い不動産を持ち続けると、その家賃等の収益が貯蓄され、結果として、その貯蓄資産についても相続税の課税対象となってしまいます。そこで、「相続時精算課税方式」により、親から子にその不動産を贈与することにより、将来の収益による財産についても子に移転することができ、結果として相続税が節税されることになります。
<将来株価が上昇しそうな株式を所有している場合>
将来株価が上昇するのがわかれば誰も苦労しない、との声が聞こえてきそうですが・・・
実は生前の対策で多くの場合に「相続時精算課税方式」による贈与を検討するケースが、同族の会社の株式です。
例えば、同族の会社の社長である本人が退任し、退職金を支給すると一時的に同族の会社の資金が減り、株価が下がります。その株価が下がった後にすぐに「相続時精算課税方式」による贈与を実行します。同族の会社の株価は退職金の支給により一時的に下がっただけですから、将来は株価が回復する可能性が高くなります。株価が回復した後に相続が発生しても贈与時点の低い評価額で相続財産に加算されるため、結果として相続税が節税されることになります。
「相続時精算課税方式」による贈与は、メリット・デメリットを理解した上で、慎重に検討する必要があります。贈与の検討をしている方は、必ず、担当税理士・会計士までお問い合わせください。