太陽光発電設備の即時償却の活用メリット
コーポレート部門 安藤 和則
1. 太陽光発電設備の即時償却とは?
太陽光発電設備や新エネルギー利用設備などのCO2排出削減や再生可能エネルギー導入拡大を促進することを目的として、平成23年度税制改正により創設されたグリーン投資減税制度のうちの1つです。このグリーン投資減税は、青色申告書を提出する個人事業者及び法人が、平成28年3月31日までに対象設備を取得し1年以内に事業の用に供した場合に、普通償却に加えて30%の特別償却ができる制度ですが、対象設備のうち、平成27年3月31日までに取得した太陽光・風力発電設備に限り、全額即時償却が認められています。
2. 即時償却のメリット
太陽光発電設備の取得額は、通常であれば法定耐用年数である17年で減価償却することにより費用化されます。これに対し、即時償却によって初年度に全額費用化することで下表の通り、本来納めるべき税金を繰延べすることができるので、早期に手元資金が残ることとなり、資金運用メリットを先に享受することができます。即時償却と相殺できる利益がない場合でも、青色欠損金の繰越控除制度によって、個人事業者の場合は将来3年間、法人の場合は将来9年間に発生した所得との相殺も可能な場合があります。
4. 太陽光発電エネルギーの固定価格買取り制度の動向
再生可能エネルギーの固定価格買取り制度(FIT)の導入もあり、なかでも導入のしやすさから太陽光発電設備の普及が進んでいるようです。九州電力等が太陽光発電のFITの受入を一部中断するという発表も行われていますので、今後の動向には注意して活用する必要があります。
Column
今年も残すところあと2か月となりました。巷では先日まで「ハロウィン商戦」でしたが、今度は「クリスマス商戦」に切り替わるタイミングです。このように、各業界において消費税が8%に増税された以降、消費の落ち込みを少しでも防ごうとする様々な取り組みがなされています。例年、年末が近づいてくると「税制改正大綱」が公表され、私どもの業界では、法人・個人のお客様にどのような課税影響があるかの検討がなされます。加えて、今年の年末は、来年10月の消費税の10%の増税実施の判断が行われる予定となっています。これは来年度の予算編成等を考慮すると、年末までに増税実施の可否を決定しないと時間的に間にあわないという背景があるとのことです。弊事務所では、こうした税制の動きに対してタイムリーな情報発信を引き続き行って参ります。