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TSKニュース&トピックス

平成28年6月 第1号

空き家に係る譲渡所得の特別控除について(2)

税理士 内田智弘

平成28年分の税制改正において創設された「空き家に係る譲渡所得の特別控除」制度について、平成28年3月31日、改正政省令が公布されました。税制改正大綱時に掲げられた適用要件の他に新たに付された要件等もあるため、今回(5月号)以降にて、改正政省令等により明らかになった要件等について説明いたします。     

空き家に係る譲渡所得の特別控除の概要(平成28年1月号より)

相続の開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた被相続人居住用家屋(当該相続の開始の直前において当該被相続人以外に居住をしていた者がいなかった、昭和56年5月31日以前に建築された家屋等)及び当該相続開始の直前において当該被相続人居住用家屋の敷地の用に供されていた土地等を当該相続により取得した個人が、平成28年4月1日から平成31年12月31日までの間に、一定の要件を満たした譲渡をした場合には、当該譲渡に係る譲渡所得の金額について居住用財産の譲渡所得の3,000万円の特別控除を適用することができます。

今回は、過去のTSKNEWS(平成28年1月発行分)の追記として、寄稿させていただきます。

分割譲渡する場合には、その合計額で1億円超の判定となる

本特例の要件の1つとして、当該相続の時から当該相続の開始があった日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までの間にしたものに限るものとし、当該譲渡の対価の額が1億円を超えるものを除く規定がございました。

今回さらに、本特例の対象となる被相続人居住用家屋の譲渡において、本特例の適用期間内で分割して譲渡をする時に、「適用前譲渡」(※1)及び「適用後譲渡」(※2)合計額が1億円を超える場合には、本特例を適用しない旨が改正税法において規定されました。

上記を踏まえ、例えば、居住用不動産を分割譲渡(贈与等を含む)した場合のそれぞれの譲渡の対価の額が1億円以下であっても、その譲渡価額の合計額が1億円を超える場合には、要件を満たさないこととなり、本特例の適用の対象外となります。

※1適用前譲渡・・・相続の時から、本特例の適用を受ける者の対象譲渡をした日の属する年の12月31日までの間に行う収用交換等を除いた家屋等の譲渡

※2適用後譲渡・・・その対象譲渡をした日の属する年の翌年1月1日から、その対象譲渡をした日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までの間に行う対象譲渡資産一体家屋等の譲渡

また、この譲渡には「贈与」(著しく低い価額の対価による譲渡を含む)も含まれ、この場合の贈与(低額譲渡を含む)時の価額は、その譲渡時の通常の取引価額(時価)とされるようです。

【次号へ】

今回のTSKNEWSでは、追記として寄稿をさせていただきましたが、次号でもまた、「空き家に係る譲渡所得の特別控除」制度につき、追記として寄稿をさせていただく予定でございます。

また、平成28年度税制改正大綱で新たに創設された内容でございますので、これからさらに細かい内容の取扱いが通達等により周知されることも予想されるため、今後も国税庁から公表される法令等を確認していく必要がございますことをご留意ください。

Column

【民法改正について】

法相の諮問機関である法制審議会において、政府は早ければ2017年の通常国会に相続に関する民法改正案を提出する予定ですが、その中間試案の原案が最近の新聞報道で明らかになりました。その主なポイントとしては①配偶者の居住権保護 ②配偶者の法定相続分の引き上げ ③自筆証書遺言の自筆以外の文書の容認 ④特別寄与分制度について相続人以外についても介護などの貢献を考慮する等があります。今回の改正の背景には、高齢化社会の進展や家族の在り方に関する国民意識の変化等、社会情勢の変化等を考慮し、残された配偶者の生活への配慮等があります。