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TSKニュース&トピックス

平成29年3月 第2号

みなし贈与~贈与税課税回避の検討~

税理士:TAX部門/個人資産税務 吉濱 康倫

近年、相続対策としてご生前に親族の方へ資産を移転するケースが増えております。例えば、ご自分で保険料を払っていないにも関わらず保険金を受け取った場合には贈与とみなされてしまう可能性があり、本人同士に贈与の意思がない場合にもみなし贈与財産を取得したとして贈与税が課税されることがございます。  生命保険金の概要についてはTSKNEWS №173号既報の通りですが、本号では課税関係を改めて確認し、みなし贈与による過度な税負担を強いられないための方策を検討したいと思います。

1.生命保険金等の課税関係

生命保険金等は保険契約者(保険料負担者)と保険金受取人が異なる場合に課税負担の大きい贈与税課税が生じることとなります(下図参照)

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2.考え得る対策

●節税対策として保険料相当額の現金を贈与し、受贈者が当該現金を原資として、保険契約者(保険料負担者)及び保険金受取人となる保険契約を締結することにより、税負担の少ない一時所得としての所得税課税を受ける手法があります。

●保険料負担者に疑義が生じないよう、以下のような対応を行う必要があります。
①毎年の贈与契約書
贈与とは契約であるため、受贈者に贈与を受ける意思表示が必要であるため。
②贈与税申告
基礎控除以下であれば贈与税の申告義務はないが、110万円を超える額の贈与により贈与税の申告を行い、申告書を保存する方法も考えられる。
③所得税の確定申告書等における生命保険料控除の状況
贈与者が生命保険料控除をしていると保険料の贈与は実行されていないこととなる。
④その他贈与の事実が認定できるものなど
金融機関への振り込み書を保存する。保険料贈与後は、受贈者自身が保険料を払い込む。

3.留意点

上記対策については契約書や贈与税申告書を作成・提出しても、実態が無ければ課税当局に否認される可能性が高いと考えられます。贈与は諾成契約(あげる、もらうという意思表示が必要)のため、あくまでも客観性を担保するための一方策である点につきご留意ください。

<執筆者紹介>

吉濱 康倫(税理士:TAX部門/個人資産税務に所属)

相続税申告業務のほか、相続発生前の節税対策、事業承継対策、税務相談業務など幅広い個人税務のサポートを行っております。