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TSKニュース&トピックス

平成29年3月 第3号

大赤字なのに多額の税金の理由~会計と税務の相違点②~

公認会計士 税理士 鈴木 哲史

平成29年2月発行第3号において、会計と税務の相違点がなぜ生じるのかという総論について解説しました。改めて要点をまとめると、会計と税務で相違が生じる理由は『会計と税務ではその目的が異なる』からです。会計は債権者・投資家・取引先等の企業を取巻く利害関係者(ステークホルダー)の保護等を図るために、企業実態の適切な開示を目的としています。一方で、税務は個々の企業の税負担能力(担税力)に即した公平な課税を目的としています。 これらの目的を踏まえ、それぞれの概念の解説と、前回(平成29年2月発行第3号)触れた会計と税務の相違点として代表的な項目である減損損失について解説させて頂きます。

【会計と税務の相違点が生じる概念図】

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上表は、あくまでも概念図とご理解ください。会計は保守的思考のもと、不確実な収益は計上しない反面、将来発生するかもしれない費用・損失については取り込むことにより、利害関係者への情報提供を果たしています。一方、税務は確定した益金・損金に基づき、税負担能力に即した公平な課税を図っています。

【減損損失】

固定資産の減損とは、資産の収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった状態であり、減損処理とは、そのような場合に、一定の条件の下で回収可能性を反映させるように帳簿価額を減額する会計処理です。すなわち、減損処理は事業用資産の過大な帳簿価額を減額し、将来に損失を繰り延べないために行われる会計処理です。その結果生じる減損損失は、将来に損失を繰り延べないためのものであることから、会計では保守的見地から計上するものの、税務では未確定な損失として損金計上が認められず、両者が相違することになります。

<執筆者紹介>

鈴木 哲史 シニアマネージャー・千葉事務所所長
(公認会計士・税理士)

FAS部門にて企業再生、M&A等のデューデリジェンス業務等に従事。また、各種コンサルティング業務、各種評価業務や会計税務顧問業務にも従事。