非上場株式等の贈与税の納税猶予の特例制度の見直し ~相続時精算課税制度の併用~
TAX部門 個人資産税務所属 井出 尚哉
1.相続時精算課税制度とは
相続時精算課税制度とは、名の通り「相続時に精算して課税する」制度です。生前の贈与で取得した財産の価額は贈与者が亡くなった際の相続税の計算で持ち戻され、贈与時に支払った贈与税も相続税の計算上差し引くこととなります。つまり、同制度の適用により計算された贈与税は仮計算であり、後の相続税の計算で精算されることとなりますので、税額負担は相続のみにより財産を取得した場合と同額になります。
2.改正の内容
改正内容は以下の図の通りとなりました。暦年贈与税は相続税に比べ適用税率が高く、基礎控除額も少ないため認定取消時の税負担が多額となっていました(下図②)が、相続時精算課税制度の併用が認められたことにより、相続により株式等を取得した場合(下図①)と税負担が同額となるため、同制度の適用促進につながるものと考えられます。 なお、この改正は平成29年1月1日以後に贈与により取得する非上場株式等に係る贈与税について適用されます。
参考:平成29年度 経済産業関係 税制改正について P30
<執筆者紹介>
TAX部門 個人資産税務所属 井出 尚哉
相続税申告のほか、相続対策や事業承継など、個人資産税業務に従事しています。