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TSKニュース&トピックス

平成29年8月第3号

~収益認識に関する会計基準(案)①~

 シニアスタッフ 公認会計士 田中 新也

平成29年7月20日に、企業会計基準委員会(ASBJ)より、「収益認識に関する会計基準(案)」及び、「収益認識に関する会計基準の適用指針(案)」が公表されました。今回は売上高に関する会計基準ということで注目度の高い、本公開草案の概要について説明させて頂きます。

【1.基準開発の背景】

我が国における収益認識は、企業会計原則にて「売上高は実現主義の原則に従い、商品等の販売又は役務の給付によって実現したものに限る。」とされているものの、収益認識に関する包括的な会計基準はありませんでした。 一方、国際会計基準審議会(IASB)及び米国財務会計基準審議会(FASB)は平成26年5月に「顧客との契約から生じる収益」(IASBにおいてはIFRS第15号、FASBにおいてはTopic606))を公表しました。 これらの状況を踏まえ、国際的な比較可能性の観点からIFRS第15号を基本原則とし、本公開草案が発表されました。 なお、本公開草案については平成29年10月20日までコメントが募集されています。

【2.基本原則】

原則的には、IFRS第15号と同様に下記の5つのStepに基づき収益認識を行うこととなります。
ただし、これまで我が国で行われてきた実務等に配慮し、財務諸表間の比較可能性を大きく損なわせない範囲で、個別項目に対する重要性等に関する代替的な取り扱いが定められています。(例えば、Step5の代替的な取り扱いとして出荷時から支配移転時(検収時等)までの期間が通常の期間である場合、支配移転時までの一時点(出荷時等)に収益を認識することができる。)
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【3.収益認識の設例】

下記の場合、当期に認識される収益額は商品Xの販売10,000千円と、保証サービス1,000千円の合計11,000千円となります。

<前提条件>
(1)当期首にA社はB社(顧客)と商品Xの販売と2年間の保守サービスを提供する1つの契約を締結した。
(2)A社は、当期首に商品XをB社に引き渡し、当期首から翌期末まで保守サービスを行う。
(3)契約書に記載された対価の額は12,000千円である。
 
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【4.適用時期】

原則適用時期:平成33年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度期首(早期適用あり)

次回9月第3号では、本公開草案により現状の取り扱いが認められなくなると想定される取引を説明いたします。

<執筆者紹介>

田中 新也 シニアスタッフ 公認会計士

大手監査法人で金融機関(銀行、証券会社、ファンド等)に対する監査業務に従事した後、高野総合会計事務所に入所。現在は、FAS部門にて企業再生(私的整理案件を中心に、民事再生業務も複数件担当)、M&A等のデューデリジェンス業務、バリュエーション業務等に従事。また、お客様や金融機関向けに、管理会計・再生業務の研修も実施。