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TSKニュース&トピックス

平成29年11月 第1号

「特定新規設立法人に係る消費税の納税義務」について

TAX部門/税理士 安藤 大樹

近年の消費税法改正に伴い、消費税の納税義務判定に関する規定は複雑化しており、とりわけ新設法人に関する納税義務については、新設法人のみならず関連会社の課税売上げの金額をもとに納税義務の判定を行う必要があります。今回は、近年新たに導入された「特定新規設立法人に係る消費税の納税義務の判定」について取り上げさせていただきます。

1.新設法人が課税事業者となる場合

新たに設立した法人で消費税の基準期間がないもの(新設法人)については、基準期間における課税売上高がないため、原則として設立後2年間は免税事業者として消費税の納税義務が免除されることとなります。しかしながら、新設法人の場合でも下記のいずれかに該当する場合には、納税義務は免除されずに課税事業者に該当することとなります。
 
①新設法人についてその事業年度の期首時点の資本金が1,000万円以上の場合
②新設法人が特定新規設立法人に該当する場合
③新設合併又は新設分割等があった場合における特例判定が適用される場合
 

2.特定新規設立法人に関する消費税の課税事業者の特例

本特例は、新設法人であっても、親会社(50%超の持分保有会社)又は親会社の特殊関係法人(兄弟会社等)などの基準期間における課税売上高が5億円を超える場合には、その新設法人は課税事業者に該当することを規定しています。
具体的には下記の2要件を満たすことで、新設法人は特定新規設立法人として課税事業者に該当することとなります。
 
①新設法人の基準期間がない事業年度開始の日において、他の者により新設法人の株式等の50%超を直接又は間接に保有される場合など、他の者により当該新規設立法人が支配される一定の場合(特定要件)に該当すること。
②上記①の特定要件に該当するかどうかの判定の基礎となった他の者及び当該他の者と特殊な関係にある法人(特殊関係法人)のうちいずれかの者の当該新設法人の当該事業年度の基準期間に相当する期間における課税売上高が5億円を超えていること。
 

3.実務上の注意点

本特例の判定に当たり実務上注意が必要な事項として、判定対象となる他の者及び特殊関係法人に該当する判定対象者の範囲が消費税法上で複雑に規定されていることにあります。「他の者」とは新設法人の株式等の50%超を直接又は間接に保有する法人等がこれに該当し、「特殊関係法人」とは他の者と100%支配関係(完全支配関係)にある他の法人等として規定されています。
下記の出資関係図をもとに各社が5億円超の判定対象者に該当するか、判定根拠を踏まえて解説いたします。
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<執筆者紹介>

TAX部門/税理士 安藤 大樹

中小企業及び中小企業の関係会社を中心に決算業務、申告書の作成、税務相談業務に従事。

Column

早いもので今年も残すところあと2か月となりました。先日の台風では地域差はあるものの、被害は大きかったようです。「天災は忘れた頃にやってくる」といいますが、天災に限らず、来年に向けて色々と準備を始めるには良い時期ですので、いまから少しずつ取り組んでいきましょう。先ず、贈与についてですが、奥様やお子様に贈与を検討されている方は、対象となる財産を年内に移転する必要があります。資金移動、不動産移転等お忘れにならないよう十分ご注意ください。
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12月には税制改正大綱が発表される予定です。弊事務所ではこれからも、個人法人のお客様に役立つ税務情報をタイムリーにお届けして参ります。