平成30年2月号 第1号
給与所得者の特定支出控除
TAX部門 シニアマネージャー 税理士 伊藤 明弘
サラリーマンなどの給与所得者は、通常、確定申告を行う必要はありませんが、確定申告をすることで所得税等の還付を受けることが出来るケースがあります。今回のTSKニュースでは、この様なケースのうち、給与所得者が自身で負担した費用を給与等の収入金額から控除することができる制度である「特定支出控除」を解説します。
1.制度の概要
給与所得者は、給与等の収入金額から給与所得控除額を控除した金額に対して所得税等が課税されます。特定支出の金額の合計額が給与所得控除額の1/2を超える場合には、給与所得控除額に次の金額を上乗せして所得税等の金額を計算することができます。
2.特定支出
特定支出とは、次の金額をいいます。なお、いずれも給与の支払者が証明したものに限ります。
3.手続と必要な書類
特定支出控除の適用を受けるためには、確定申告を行い、確定申告書に給与等の支払者の証明書、特定支出の領収書等、特定支出に関する明細書の添付が必要です。
<執筆者紹介>
伊藤 明弘 シニアマネージャー 税理士
上場企業及び上場企業の関係会社を中心に決算業務、申告書の作成、税務相談業務に従事。
Column
企業会計基準委員会(ASBJ)で、「収益認識に関する会計基準(案)」が検討されています。平成33年4月1日以降開始事業年度から強制適用とされていますが、返品調整引当金の廃止、割賦販売における延払基準の廃止など、会社の会計数値のみならず、販売システムの改変の対応など実務にも大きな影響を及ぼす可能性があります。 この点、会計処理の検討は必要ですが、「収益認識に関する会計基準(案)」によって会社の業務フローの中での 収益認識のタイミングが変わる可能性がある場合、販売システムと経理システムの連携の見直しなどの可能性があります。平成33年度以降、会計処理の対応に加え、販売システムの改良も必要な場合には、事前の準備や費用などが掛かる可能性がありますので、早めの対応が肝心です。