平成30年9月第2号
贈与税の非課税特例制度のまとめ
パートナー 税理士 伊藤 博昭
教育資金の一括贈与の非課税制度は、開始から3年弱で利用が15万件を突破し、当該制度を利用した贈与金額は1兆円を超えたそうです。当該制度も平成31年(2019年)3月で期限が切れることから、文部科学省が2019年度改正で現行の期限付きの時限立法ではなく、恒久化を要望しています。今回は教育資金の贈与の非課税制度を含め、他の贈与税の非課税の特例制度をまとめました。
1.教育資金の一括贈与の非課税制度
個人(30歳未満に限ります。)の教育資金に充てるため、親または祖父母等が金銭等を拠出し、金融機関等に信託等をした場合には、その金銭等の価額のうち1,500万円(学校等以外の一定の場合には500万円)までに相当する金額については、贈与税が非課税となります。なお、受遺者が30歳に達した時に、使い残しの金額がある場合には、贈与税が課税されます。
※ 期間:平成25年4月1日から平成31年(2019年) 3月31日まで
2.結婚・子育て資金の一括贈与の非課税制度
個人(20歳以上50歳未満に限ります。)の結婚・子育て資金に充てるため、親または祖父母等が金銭等を拠出し、金融機関等に信託等をした場合には、その金銭等の価額のうち1,000万円(学校等以外の一定の場合には300万円)までに相当する金額については、贈与税が非課税となります。なお、受遺者が50歳に達した時に、使い残しの金額がある場合などには、贈与税が課税されます。
※ 期間:平成27年4月1日から平成31年(2019年)3月31日まで
3.住宅資金贈与の非課税制度
親又は祖父母等から住宅取得のための資金の贈与を受け、その贈与年の翌年3月15日までに居住用の建物を取得等をして、かつ、居住した場合で、一定の要件を満たすときは、最大1,200万円(消費税の税率が10%の場合は最大3,000万円)までに相当する金額については、贈与税が非課税となります。
※ 期間:平成27年1月1日から平成33年(2021年)12月31日まで
4.夫婦間で居住用財産を贈与した場合の配偶者控除制度
結婚して20年以上経過している配偶者から居住用不動産または居住用不動産を取得するための金銭の贈与を受けたときは、2,000万円の配偶者控除の適用を受けることができます。※期間なし
暦年贈与による非課税枠(年間110万円)を活用しつつ、配偶者への感謝の気持ちを表すための配偶者控除制度の利用や、お子様又はお孫様に必要な結婚・教育資金又は住宅資金について、上記特例を効果的に利用することが大切です。また、特例を利用するためには、様々な要件があり、また、贈与税は実質的に相続税と連動しているものであるため、相続を見据えた総合的な生前対策が必要となります。検討の際には、是非とも担当税理士にご相談ください。
<執筆者紹介>
伊藤 博昭 パートナー 税理士
法人業務を含め数多くの相続案件に携わり、相続税の申告業務のほか、相続発生前の相続対策、事業承継対策など幅広い税務のサポートを行っております。