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平成30年11月発行 第2号 

小規模宅地等の特例(貸付事業用宅地)の特定貸付事業について

個人資産税部門所属 マネージャー 税理士 梶原 章弘

 平成30年4月1日以後の相続または遺贈から小規模宅地等の特例の貸付事業用宅地(一定の要件を満たせば宅地の評価が200㎡まで50%減額)の適用について、原則として相続開始前3年以内に貸付事業を始めたものはその対象から除外されることになりました。 ただし、相続開始前3年を超えて事業的規模の貸付け(以下、特定貸付事業という)を行っている場合には、相続開始前3年以内に貸付事業を始めたものも対象となります。特定貸付事業に該当するかどうかの判定は、不動産所得(所得税)の「5棟10室基準」等に準じると考えます。

1.貸付事業用宅地(小規模宅地等の特例)の概要

貸付事業用宅地等とは、被相続人等の事業(不動産の貸付けに限る。)の用に供された宅地等で次(1)または(2)のいずれかの要件を満たす被相続人の親族が取得した部分をいいます。1120.bmp

平成30年4月1日以後相続または遺贈については、相続開始前3年以内に貸付けを開始した不動産については、小規模宅地等の特例の対象から除外されます。(ただし、事業的規模で貸付けを行っている場合を除く

2.事業的規模の判定「5棟10室基準」とは

「5棟10室基準」とは、不動産所得(所得税)の申告において、建物の貸付けが「事業的規模」であるか否かを判定する基準です。
 

【建物の貸付けが事業として行われているかどうかの判定】(所基通26-9)1113.bmp上記「5棟10室基準」におおむね該当した場合には、特定貸付事業に該当します。

※共有不動産に関しては、各自の持分ではなく建物全体の部屋数で判定が可能と考えられます。
※駐車場は、駐車場5台分を1室に換算して「5棟10室基準」を判定します。
 (例えば、駐車スペースが50台あれば、10室として判定が可能)
※コインパーキングは、不動産所得ではなく、事業所得または雑所得に該当しますが、事業の営利性や反復継続性等の社会通念からみて事業所得と判定可能であれば、事業的規模と判定が可能と考えられます。
 

<執筆者紹介>

個人資産税部門所属 マネージャー 税理士 梶原 章弘

相続税申告業務のほか、相続発生前の節税対策、財産承継対策、事業承継対策など幅広い相続関連税務のサポートを中心に、中小企業の法人税申告業務にも携わってます。