平成31年1月 第1号
法人税法上の公益法人等の取扱い
税務部門 山田 隼平
法人税法では公益法人等はその公益性から収益事業課税制度を採用しています。今回のTSKニュースでは法人税法に規定する公益法人等の税務上の取扱いについてご紹介いたします。
1.公益法人等の納税義務
法人税法では内国法人は法人税を納める義務があると規定しております(法人税法第4条)。また、同条のただし書きに公益法人等及び人格のない社団については収益事業を行う場合、その他一定の場合に限り法人税を納める義務があるとして、公益法人等は収益課税制度を採用することを規定しています。なお、公益法人等は法人税の納税義務がない場合についても所轄の税務署長に一定の書類を提出しなければならない場合があり留意する必要があります。
2.公益法人等の範囲
法人税法で規定する公益法人等は法人税法別表第二に掲げる法人をいい、代表的なものとして下記の法人があります。
・宗教法人・医療法人・学校法人・商工組合 公益財団法人・公益社団法人 等
3.法人税の確定申告を提出しない公益法人等
公益法人等は収益事業その他一定の事業を行わない場合には法人税を納める義務はありません。ただし、法人税の確定申告書を提出しない公益法人等は原則として年間の収入金額の合計額が8,000万円以下の場合を除き、事業年度終了の日の翌日から4月以内に主たる事務所の所在地の所轄税務署長に損益計算書又は収支計算書を提出しなければなりません。この損益計算書等の記載事項としては公益法人等のその事業年度に行った収益の部と費用の部を記載することとされています。
4.法人税の確定申告を提出する公益法人等(収益事業課税制度)
公益法人等が収益事業を行う場合には普通法人とのバランス等を考慮して収益事業を行う場合 に課税され収益事業から生じた所得が課税対象となります。なお、公益目的事業は収益事業から除かれているため、公益目的事業から生じた所得は課税対象になりません。
収益事業とは販売業、製造業その他の政令で定める事業で、継続して事業場を設けて行われるものをいい、その性質上その事業に付随して行われる行為を含むものとされています。
収益事業を行う場合には法人税の確定申告書を事業年度終了の日の翌日から2カ月(申告期限の延長を行っている場合はその期限)以内に所轄税務署長に提出しなければなりません。公益法人等の税務や会計でお悩みの際には是非弊事務所へご相談ください。
<執筆者紹介>
税務部門 山田 隼平
上場企業の関係会社、中小企業、公益法人等の決算業務、申告書の作成,税務相談業務に従事
Column
明けましておめでとうございます。
今年最大のイベントといえば、平成から新たな元号へと変わることですが、税の世界でも、毎年改正が行われます。
本年の税制改正大綱の大きなテーマは消費税の増税ですが、このほか、過度な返礼品が問題視された結果、ふるさと納税の見直しが行われる見込みです。このふるさと納税については様々なまとめサイトがありますが、有名なポータルサイトである○天市場を利用すると、寄附金額に対してさらに○天ポイントがもらえるので、少しだけお得な気分になります。税務・会計はもちろん、その周辺のお役立ち情報についても発信していく所存ですので、本年も高野総合グループを何卒よろしくお願いします。