令和2年9月第3号
コロナウイルス感染症の中小企業影響調査①
FAS部門 古川 祐多
2019年に中国で初めて発見された新型コロナウイルスは、緊急事態宣言の発令など日本の経済に大きな打撃を与えてきました。内閣府が8月17日に発表した2020年4~6月の実質国内総生産(GDP)速報値は年率▲27.8%とリーマンショック後の▲17.8%を上回り戦後最大の落ち込みとなりました。現在も「第2波」とも言われる状況下に置かれ厳しい状況が続いています。このような環境下で中小企業では実際どのような影響が出てきているかについて独立行政法人中小企業基盤整備機構がアンケート調査(2020年7月)を実施しているのでご紹介いたします。
①企業影響状況(2020年7月末)
前年同月比のマイナス影響発生、発生見込みは75.9%を占めており6月調査時点から3.5ポイント増加していることからも業績の改善はみられていません。
消費動向調査によると、消費者態度指数は緊急事態宣言真っ只中である4月に大きく下落し、その後は回復基調にはありますが、コロナ発生前の水準には至っておらず回復には時間がかかると考えられます。業種別では、サービス業(宿泊・飲食)の「大幅なマイナスの影響が発生」の割合が突出しており、次いで製造業、小売業が高くなっており、極めて厳しい状況が継続しています。ただし、サービス業(宿泊・飲食)では7月の下旬から東京都を除外し「Go Toトラベル事業」が開始されています。7月時点では開始間もないことから効果は限定的でしたが、今後については東京の参加も含めて動向を注視する必要があります。
出典:独立行政法人中小企業基盤整備機構
「(2020年7月度)新型コロナウイルス感染症の中小・小規模企業影響調査」
中小機構 企画部調査課では「新型コロナウイルス感染症の中小・小規模企業影響調査(7月度)」をWebアンケートにて実施。令和2年7月29日~31日の間、全国の中小企業・小規模事業者(個人事業主含む)約2,000社から得られた回答を集計。
②中小企業の今コロナ禍対策
本調査では、現在の事業面の対策としては「金融機関等からの資金調達」や「公的支援の活用・情報収集」の割合が大きかったですが、今後の対策面では「新たな商品・サービスの開発」や「既存商品・サービスの開発」の割合が大きくなっています。また、事業面、労務面共にコロナ禍対策で、「対策なし・今後の対策がわからない」・「利用できる支援策がわからない」という企業の割合が3割程度存在します。
今後も当面は新型コロナウイルスの影響は続く見込みです。もちろん足許の資金繰りも重要ですが、事業継続の為には、現在の対策を継続しつつもウィズコロナ時代に対応していかねばなりません。そのためにもまず経済産業省のホームページに掲載されている支援策を確認し、そのうえで顧問税理士や地方自治体や金融機関、保証協会などで設置されている経営相談窓口で自社で活用できる支援策の確認も含め相談することが現状を打開する方策となるでしょう。
弊事務所は数多くの事業再生の経験がございます。今後の経営についてお困り事などがございましたらぜひご相談ください。
<執筆者紹介>
FAS部門 古川 祐多
建設会社で営業業務を経て髙野総合会計事務所に入所。現在は中小企業の事業再生業務やM&Aなどのデューデリジェンス業務に従事しています。