~在宅勤務に係る費用負担等に関する源泉所得税について~
個人資産部門 小倉瑞奈
1.在宅勤務手当
企業が従業員に在宅勤務手当(例えば、企業が従業員に対して毎月1万円を渡切りで支給するもの等)を支給した場合は、従業員に対する給与として課税の対象となります。
在宅勤務手当として支給していても、その費用の実費相当額を精算する方法により、支給する一定の金銭については、従業員に対する給与にはならず課税の対象にはなりません。
2.在宅勤務に係る事務用品等
事務用品(PC、スキャナーなど)を、現物支給した場合は給与として課税の対象となります。しかし、貸与の場合は課税の対象とはなりません。
3.在宅勤務に係る通信費
会社支給の携帯電話等がない場合、通話料(基本料金を除く)については、通話明細書等により業務のために使用した料金が確認できることから、その金額を支給する場合には、課税の対象にはなりません。
営業担当など業務のため頻繁に通話を行う場合には、業務のために使用した通話を明細から確認するのは煩雑であるため、下記の算式により計算しても差し支えありません。また、基本料金及びインターネット接続に係る通信料は業務に使用した部分を合理的に計算する必要がありますが、通話料と同様に下記の算式により計算しても差し支えありません。
【具体例】令和3年1月の在宅勤務日数が10日間であった従業員が所有するスマートフォンの利用料金5,000円(税込)のうち業務のために使用した部分として精算する金額の計算方法。
上記の計算によらず、より精緻な方法で業務に使用した金額を支給した場合も課税の対象にはなりません。いずれの方法においても業務に使用した金額を超えて支給した場合は給与として課税の対象となります。
4.レンタルオフィス代金
自宅に在宅勤務をするスペースがない従業員が勤務時間内に自宅近くのレンタルオフィス等を利用して在宅勤務を行った場合、領収書等を企業へ提出しその代金が精算されているものについては課税の対象にはなりません。企業が従業員に金銭を仮払し、領収書を提出し精算をする場合も、同様に課税の対象にはなりません。
<執筆者紹介>
個人資産部門 小倉瑞奈
相続税申告のほか、相続対策や事業承継など、個人資産税業務に従事しています。