~令和3年度税制改正 固定資産税について~
個人資産税部門 税理士 加藤剛司
1.令和3年度の税制改正の概要
①宅地等及び農地の負担調整措置については、令和3年度から令和5年度までの間、据置年度において価格の下落修正を行う措置並びに商業地等に係る条例減額制度及び税負担急増宅地に係る条例減額制度を含め、現行の負担調整措置の仕組みを継続する見込みです。
②令和3年度限りの措置として、宅地等(※1)及び農地(※2)については、令和3年度の課税標準額が上昇した場合でも令和2年度の課税標準を用いて納税額を計算される見込みです。
※1商業地等は負担水準(※3)が60%未満、
商業地等以外の宅地等は負担水準が100%未満の土地に限る。
※2負担水準が100%未満の土地に限る。
※3土地の前年度の課税標準額が、当年度の評価額に対してどの程度の水準にあるかを示す指標をいう。
負担水準=前年度の課税標準額÷今年度の評価額
2.負担調整措置とは
固定資産税は評価替えによる税額の急激な上昇を抑える等の理由により負担調整措置を適用し、評価額よりも低い課税標準額で税額を算出しています。平成9年度から、この負担調整措置は「負担水準の均衡化」という観点から、下記の負担水準に応じて税負担を調整することとなりました。その後も負担水準のばらつきを解消することを目的として、負担水準の均衡化を促進する措置等が取られてきました。
3.まとめ
固定資産税は賦課課税方式によるため、申告納税方式である所得税や法人税等と異なり、その課税標準(評価額)や税額の計算について、納税者自身で正確に理解していることが少ない場合があります。
また、セットバックによる非課税の適用を受けるための申告書が提出されていないこともあります。さらに、地方公共団体が独自に定める条例(わがまち特例)による取り扱いの違いもあります。
皆様が所有している土地建物の固定資産税について、一度確認してみてはいかがでしょうか。
執筆者紹介
個人資産税部門 税理士 加藤剛司
相続税申告のほか、相続対策や事業承継など、個人資産税業務に従事しています。