中小企業の事業再生等に関するガイドラインについて
FAS部門 公認会計士 雨宮 海
本ガイドラインの目的
本ガイドラインは、「中小企業活性化パッケージ」の「中小企業の収益力改善・事業再生・再チャレンジの総合的支援」の施策の一部とされており、令和4年4月15日からの適用を予定しております。増大する債務に苦しむ中小企業の円滑な事業再生等を一層支援するため、関係者間の共通認識を醸成し、一体となって取組を進めるべく、本ガイドラインが策定されました。
平成13年に「私的整理に関するガイドライン」が策定されておりますが、こちらのガイドラインは大企業や中堅企業を念頭として策定されており、本ガイドラインの「中小企業の事業再生等のための私的整理手続(以下、中小企業版私的整理手続)」は、中小企業者を対象としております。本ガイドラインによると、中小企業版私的整理手続は、中小企業者の特性を考慮し策定した、中小企業者のための準則型私的整理手続に関する金融界・産業界のコンセンサスを得たものです。中小企業者が策定する事業再生計画案や弁済計画案の内容、その成立要件、計画成立のための手続、金融機関の対応及び計画成立後のモニタリングについては、他の準則型私的整理手続において具体的定めがない場合には、中小企業者及び対象債権者は、本手続を参照すべき拠り所として活用することが期待されています。本手続は、準則型私的整理手続を中小企業者に対して適用する場合に広く準用できる考え方を示すことを目指したものでもあります。
本ガイドラインのポイント
中小企業活性化パッケージでは、本ガイドラインのポイントとして下記の2つを挙げております。
①中小企業の実態を踏まえたプロセスや事業再生計画の基準を明確化
出典:経済産業省・金融庁・財務省「中小企業活性化パッケージ」より抜粋、加工
②独立・公平な立場の第三者支援専門家(弁護士、会計士等)による支援
独立・公平な立場の第三者支援専門家(再生実務経験がある弁護士、会計士等で適格認定を得たもの)が、事業再生計画案の調査報告書の策定等を行い、円滑な事業再生等までのプロセスを支援します。第三者である支援専門家が、中立かつ公正・公平な立場から、中小企業者の策定する計画の検証等を行うことが特徴であり、これにより、迅速かつ円滑な手続を可能としています。
弊事務所には第三者支援専門家候補者が所属しておりますので、事業再生などお困りごとがございましたら是非ご相談ください。
執筆者紹介
FAS部門 公認会計士 雨宮 海
大手監査法人にて卸業、小売業、情報・通信業等の国内監査業務に従事した後、髙野総合会計事務所に入所。現在は中小企業の事業再生業務やM&Aなどのデューデリジェンス業務に従事しています。