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特定資産の買換えの課税特例の改正

個人資産部門 井出 尚哉

昨年12月に公表された税制改正大綱により、特定資産の買換特例が見直される予定です。今回はその改正内容を確認していきます。

1. 特定資産の買換特例とは

特定資産の買換特例とは、特定の資産を譲渡し、一定の要件に該当する資産の取得等をした場合に、その譲渡益の一定割合について、圧縮記帳(個人の場合には、取得価額の引継ぎ)をすることで課税を将来に繰り延べることができる制度です。

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2. 対象資産・対象区域及び圧縮割合の見直し

既成市街地等の内から外への買換え(1号買換え)が廃止され、長期所有の土地建物等の買換え(4号買換え)における譲渡益の圧縮割合が変更される予定です。

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3.同一期中(年中)に資産の買換えをした場合の届出書の提出

先行取得の場合の特例の適用にあたっては、一定の場合を除き、譲渡資産の譲渡日または買換資産の取得日のいずれか早い日の属する3月期間の末日の翌日以後2月以内に所定の事項を記載した届出書を提出することが要件として新たに追加される予定です。

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(届出書に記載する事項)
・特例の適用を受ける旨
・適用を受けようとする措置の別
・取得予定資産又は譲渡予定資産の種類 等

4.適用時期

適用期限が3年(令和8年3月31日まで)延長されます。2.の改正は令和5年4月1日以後の譲渡について適用されます。3.の改正は、令和6年4月1日以後に譲渡資産を譲渡し、同日以降に買換資産の取得をする場合の届出について適用されます。

5.実務への影響

特定資産の買換えの課税の特例を適用する資産は、その金額が多額となる場合が少なくありません。
本改正で、同一期中(年中)に資産の買換えをした場合の届出書の提出要件が追加されたことで、年又は事業年度の中途に届出期限をむかえる事例の増加が想定されますので、届出期限を徒過しないよう十分な事前準備が肝要です。

執筆者紹介

個人資産部門 井出 尚哉
相続税申告のほか、相続対策や事業承継など、個人資産税業務に従事しています。