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相続財産評価における総則6項適用

個人資産部門 税理士 加藤 剛司

国税庁が行った総則6項の適用について、令和4年4月19日の最高裁において適法とする判決(納税者敗訴)がでました。この判決の影響は大きく様々なメディアで取り上げられ、相続税対策として検討されてきた行為について一定の制限がかけられるようになったといわれております。一方で、令和6年8月28日の東京高裁において国税庁の処分を取り消す判決(控訴棄却:納税者勝訴)がでております。

1.最高裁判決と東京高裁判決の比較

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2.居住用の区分所有財産に係る総則6項の適用

令和6年1月以後に相続等により取得した「居住用の区分所有財産」(分譲マンション)については、新たな評価方法が定められました。これは、市場価格と通達に基づく相続税評価額の乖離を利用した相続税対策(タワマン節税)に対応するため、相続税評価額の適正化を目的とされています。ただし、「居住用の区分所有財産の評価に関すQ&A(問9)」(国税庁)には、改正後の通達によりマンション評価を行った場合でも、著しく不当であると認められる場合は総則6項の適用があることが明記されております。

3.まとめ

総則6項の適用は、単に著しい価格の乖離があることだけでは「特段の事情」が存在しているとは認められないとされております。そのため、「その乖離を利用して租税負担の軽減を意図して行われたか」、「租税負担の公平に反するか」が判断の基準にされております。また、相続開始直後に通達評価額を超える価格で売却が行われたとしても、上記のような事情が必要とされました。裁判等を通して、総則6項の適用に関する基本的な考え方は示されてきました。実務においては、これらのことを考慮しながら対応することが必要になると思われます。

執筆者紹介

個人資産部門 税理士 加藤 剛司
相続税申告のほか、相続対策や事業承継など、個人資産税業務に従事しています。