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TSKニュース&トピックス

賃上げ促進税制の改正点

法人部門 スタッフ 高山 竜翔

令和6年度税制改正において、賃上げ促進税制について改正が行われました。改正後は既存の大企業向け及び中小企業向けの区分に加え、新たにその間に位置する中堅企業向けの区分が新設されました。また、大企業向け及び中小企業向けの適用要件や控除率、上乗せ措置など、既存の項目においても多数の見直しが行われました。そこで今回は3月決算も近づいておりますので、令和7年3月期の申告に適用される賃上げ促進税制の改正点について解説していきます。

1.中堅企業向け賃上げ促進税制の適用対象法人について

青色申告書を提出する全ての法人のうち、適用事業年度終了の時において常時使用する従業員数が2,000人以下の法人(その法人及びその法人との間にその法人による支配関係がある他の法人の従業員数の合計が1万人を超える法人を除く。)が対象となります。また、中堅企業に該当する法人のうち、資本金の額が10億円以上かつ従業員数が1,000人以上の場合には、大企業と同様にマルチステークホルダー方針の公表及び届出を行う必要があります。このマルチステークホルダー方針の公表は、改正により適用事業年度終了の日(届出は従来通りその終了の日の翌日から45日を経過する日)が期限となっていますので留意ください。

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2.改正後の大企業向け及び中堅企業向け賃上げ促進税制による税額控除率について

大企業向けの、継続雇用者給与等支給額の前年比増加率(以下「賃上げ率」という。)が3%、4%のときに対する税額控除率が下がったものの、新たに賃上げ率が5%、7%のときの要件を追加することで、より高い賃上げを行うと改正前と同じ税額控除率となり、さらに上乗せ措置が追加されたことで、最大控除率が増加しています。また、中堅企業に該当する場合は、改正前と同じ賃上げ率で同じ税額控除率が適用されることとなります。

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3.改正後の中小企業向け賃上げ促進税制による税額控除率及び繰越税額控除について

既存の税額控除率などは据え置きのまま、上乗せ措置の要件緩和及び追加によって最大控除率が増加しております。また、中小企業向けに該当する法人が、賃上げ促進税制の要件を満たした年度において、その年度の法人税額が0円の場合または、税額控除額が控除しきれなかった場合には、翌年以降5年間の繰越控除が可能となりました。この規定により欠損が生じた年度でも、賃上げ促進税制の要件を満たすかどうかを検討する必要がある点にご留意ください。

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4.適用年度について

令和6年4月1日から令和9年3月31日までに開始する各事業年度において適用されます。

執筆者紹介

法人部門 スタッフ 高山 竜翔

上場企業の関係会社及び中小企業を中心に決算業務、申告書の作成、税務相談業務に従事。『代わりのきかない人』を目指し日々の業務に取り組んでおります。

Column

相続発生の際に課税価格に加算される贈与が令和6年分から相続開始前7年間へと改正されたことに伴う、初めての贈与税の申告期限が本年3月17日となります。令和5年分までは暦年課税を選択されていた方も、改正により何れの方式によるのが有利か悩んでおられるのではないでしょうか?相続時精算課税による贈与は生前に納付する贈与税を軽減することができる一方、いざ相続の際には期限の制限なく相続財産に加算されるため、選択の判断基準が難しくなりました。また、一旦、相続時精算課税を選択されたならば暦年課税による贈与は認められないことも判断に窮する一因と思われます。いずれの方式による贈与税の申告とするかお悩みの際は弊事務所担当者までご相談ください。