事業承継の直近の状況と今後の課題
FAS部門 公認会計士 上田 大輔
1.事業承継の直近の状況
事業承継の直近の状況を示す指標として、「後継者不在率」があります。下図の通り、2024年時点での後継者不在率は52.1%と高い水準にありますが、2020年の65.1%と比べると大きく改善しています。
改善された要因:
①官民を挙げた支援策の拡充
全国に設置された「事業承継・引継ぎ支援センター」が相談対応やマッチング支援を実施し、企業の事業承継を支援しています。また、「事業承継・引継ぎ補助金」などの制度拡充により、承継に伴う資金負担の軽減も図られております。
②事業承継の重要性に関する認知度向上
自治体や地域金融機関の積極的な広報活動により、事業承継の必要性が広く認識されるようになりました。
これらの支援策により、後継者不在率の改善が進んでいます。
①のマッチング支援によって、後継者を見つけやすくなり、親族内承継が困難な企業もM&A等を活用した第三者承継を進めやすくなっています。また、②の広報活動によって、後継者問題を後回しにしていた経営者の意識改革が進み、早期の承継準備が促進されています。
2.今後の課題
後継者不在率の改善は進んでいるものの、依然として半数以上の企業が後継者を確保できていないのが現状です。支援策の拡充により事業承継の環境は整いつつありますが、親族内承継の減少やM&Aのマッチングの難しさなど、依然として課題は残っています。
また、単なる後継者確保だけでなく、承継後の成長支援が重要です。例えば、後継者育成の研修制度や、経営支援、M&Aの円滑化などが求められます。
弊事務所では、税務部門が事業承継税務のスキーム構築・支援を行い、お客様に最適な承継プランを提案します。
FAS部門では中小企業支援の知見やM&A業務の経験を活かし、事業承継に関する助言や承継後の成長戦略についてもアドバイスを行うなど、部門を連携した総合的なサポートを行っております。
事業承継に関するご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
<執筆者紹介>
FAS部門 公認会計士 上田 大輔
大手監査法人にてリース業、不動産賃貸業、製造業等の国内監査業務に従事した後、髙野総合会計事務所に入所。現在は事業再生業務、M&A、デューデリジェンス業務、税務業務、監査業務に従事しております。